


よく自己プロデュースの上手いアーティストというと、マドンナがその代表のように言われるけど、この人も実はかなりのモノ。
毎回そのコンセプト、ジャケットアートはかなり凝っていて、それを自分で演じちゃってます。もちろん演奏は完璧だから自作自演度はマドンナ以上かもしれません。
今回のトーリは、5人の異なった容姿・人格を持つ女性(トーリ本人含む)に扮し、髪も化粧も服もくるくると変化します。そのポートレートもかなり見ものです(今年44歳には見えない・・・)。
個人的に面白かったのはクレジットに80年代後半~90年代前半に活躍したアートディレクター、ノーマン・ムーアの名前があったこと。彼の手がけたものでは全盛期のハートやベリンダ・カーライルのジャケなどがありますが、恐らくトーリは当時の雰囲気や息遣いをアルバムに盛り込みたくて彼を呼んだのではないでしょうか。この辺彼女ならではのこだわりを感じますね。
内容は、前作Beekeeperの母性を感じさせる穏やかさが嘘のように、ギターが唸り、ロックしています。サウンドもピアノ弾き語りあり、バンドサウンドあり、オルタナ風、シャンソン風の曲もあったり、かなりバラエティに富んでいる印象。
個人的に良かったのは
(2)Big Wheel(先行シングル)
(3)Bouncing Off Clouds(このグルーヴ感をピアノで出せるところが凄い・・・)
(6)You Can Bring Your Dog(なんとなく彼女が敬愛するレッド・ツェッペリンのロバート・プラントの影響を感じさせます)
(10)Secret Spell(バングルスみたいな曲。ここでのバンドサウンドは西海岸的で好き)
(17)Beauty Of Speed(ひたすら深遠で美しいピアノ。曲の構成も非常に凝っています)
(18)Almost Rosey(冒頭から甘酸っぱいワクワクする気分にさせてくれるのは何故だろう・・・サビのロックさと相まってアルバムの要素すべて盛り込んだような曲。最近の曲では一番好きかも)
・・・いろいろ書きたいことが山ほどありますが、やはりトーリは昔も今も素晴らしい☆Boys For Peleが最高傑作なので星4つにしましたが、 最新作も大好きです!
ちょっとアンニュイな感じ、だけれども力強い声でポップに歌い上げるTori Amosのニューアルバム。
実は最近人に教えてもらって聴き始めたのだけれども、視聴の段階で気に入ってiTunes Storeでアルバムをダウンロード購入してしまった程。でも、そのヴィジュアルもなかなかエキセントリックでユニークなので、CDを購入するのもありかと。
以下の公式サイトで幾つかの曲を視聴出来ます(ただしクリックするといきなり音楽が始まるので、職場では要注意)。
http://www.toriamos.com/
星を一つ減らしたのは、単純に自分の中の相対的な位置づけであり、買って損を感じさせないアルバムであることは確かです!
Tori Amosが1991年にソロ・デビューを果たし、2007年の現在までにオリジナル・アルバム8枚、カバー・アルバム1枚、ベスト・アルバム1枚と合計10枚のアルバム作品を世に送り出している。
この作品(American Doll Posse)は2007年現時点での最新オリジナル・アルバムである。
音楽の観点から作品を考察すると、Bosendorferだけで弾語りをした(1)、軽快なアメリカン・ロック調の(2)、80年代風のせつないメロディと乗り良いリズムが特徴的な(3)、脳髄を直撃する轟音ギターと力強いドラムのリズムと共に耳に残る唸り声で歌い上げる(4)、ビートルズのような覚えやすいシンプルですてきなメロディをどんどん転調させて、美しいコーラスで華やかな曲にまとめた(5)、Toriの美声とストリングスを上手く混ぜ合わせたバラードの佳曲(9)、テューバとユーフォニウム(低音金管楽器)とささやかなストリングス、そしてBosendorferでアンサンブルし、室内楽さながらの(14)、哀愁漂うメロディと耳に優しいバンド演奏で味わい深いバラードの(16)、幾重にも声を被せたコーラスとピアニスティックな演奏を楽しめる(17)、フルートの悲しげな音とBosendorferでしっとり歌い上げる最終曲(23)といったように、音楽の種類がバラエティに富んでいる。
しかし、全編通して聴いてみても散漫な印象は受けず、曲順などに工夫が見られるためか、作品として大変上手くまとまっている。Toriがこれまでの作品で取り入れてきた様々な音楽スタイルを、自分なりに上手く昇華したうえで、「トーリ・エイモス・サウンド」というジャンルを確立したとも言える。
歌詞は直截的にアメリカの政治を手厳しく批判したもの、女性を性的な存在とだけしか捕らえることの出来ない男性を揶揄したもの、男性にとって好都合なように「教え」を改竄している宗教に対する批判など、幅広い問題を取り上げている。
今作は、自叙伝的要素は薄く(皆無とは言い切れない)、初期‐中期作品のような「個人的な魂の叫び」はほとんど見受けられない。 昔のToriが取り上げた悲劇的な体験や、人間関係の複雑さ・難しさから生じる葛藤をテーマにした作品を期待している人には、音楽の点、歌詞の点、共に大きく期待外れになる作品であろう。
American Doll Posseは、Toriが現代社会を生きる大人の女性として、また音楽職人としても成長(成熟)し、進化し続けていることを明らかにする力強い作品だと思う。