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Scarlet's Walk(スカーレッツ・ウォーク)

Scarlet's Walk(スカーレッツ・ウォーク)

  • 発売日:2002年11月27日(日本国内)
  • レーベル:ソニー・ミュージックジャパンインターナショナル

収録曲

  1. Amber Waves
  2. a sorta fairytale
  3. Wednesday
  4. strange
  5. Carbon
  6. Crazy
  7. wampum prayer
  8. don't make me come to Vegas
  9. Sweet Sangria
  10. your cloud
  11. pancake
  12. I can't see New York
  13. mrs. jesus
  14. Taxi Ride
  15. another girl's paradise
  16. Scarlet's Walk
  17. Virginia
  18. gold dust

レビュー、メモ

おながのレビュー

この作品を聴いて、私はどうしてもToriのコンサートに行きたくなった。
遠い日本(東京)の地にスカーレットが歌いに来る様子はなく、作品の舞台となっているアメリカの地で、アルバムに収録されたアメリカのための楽曲たちを、直に耳にしたいという気持ちが抑えられなくなった。幸いにも2002年当時、私はひとりの大人で自分の稼ぎがきちんとあり、自分の好きにお金を使える自由があった。

この作品を作る以前のToriのことを、私はとても愛しているのだけれど、Scarlet's Walkを聴いてしまった以上、Toriが紛れも無い大人の女性として、そして母として、芸術家の一人として、しっかりと大地に足を着け、揺ぎ無い強い志を抱き、大きく歩みだしたことを認めないわけにはいかない。

私は、新しい境地に達したToriをこの目で確かめたかったし、スカーレットの声を自分の耳でちゃんと受止めたかった。そして私はスカーレットに会いにLos AngelesとNew Yorkへと旅立った。

この作品全編を支配している感情は、祖国アメリカを憂い、愛すが故、静かに涙を流し、いろいろな形で傷ついた人々を慰め・慈しむ優しい気持ちであると思う。

Scarlet's Walkがリリースされる前年(2001年9月)、アメリカ同時多発テロ事件が発生し、トーリは異例のコメントを自身のWEBサイトで発表した。「誰かを亡くした人たちのために、その場に駆けつけたいという思いにかられている皆さん。私たちは今、お互いを支え合うために、この場所にいる必要があります」(toriamos.comより)

そしてTori(スカーレット)は優しく静かな調子で怒っている。これまでのように声高に叫ばず、ヒステリックに喚かない。祖国アメリカを悲惨な事態に陥れた複雑な問題に対して静かに怒っている。大人の聡明な女性であるToriは、今までのように安易に怒り狂うことを止め、良心と真心を織り交ぜた静かな怒りでもって、敵(見える敵と見えない敵)に抗議している。

私はLos AngelesとNew Yorkでスカーレットを目の当たりにした。カリフォルニアの国道101号線をレンタカーでドライブ中、FMから(2) a sorta fairytaleが流れてきたこと、New Yorkの寒いホテルでひとりTVを見ていたとき、ピアノを弾きながら艶やかに歌うスカーレットの姿を見た。もちろんコンサート会場でも彼女は神々しいオーラを放ち、聴衆を静かに煽動していた。

音は静かで優しいけれど、Scarlet's Walkこそ彼女のキャリア中、最も強く「祈りと願い」がこめられた作品ではないかと思う。

新緑さんのレビュー

僕は、未だToriを知らない人に何を薦めるか、と言われれば2枚浮かぶ。一枚はベストアルバム、もう一枚はこの「Scarlet's Walk」。

まず、このアルバムは全体を通して穏やかだ。Tori独特の「毒」が良い具合に薄められている。もちろん、Tori独特の「毒」こそが、彼女の魅力の一つだ。しかし、「毒」を含むが故、曲の中の歌声、ピアノ等が血の気を帯びていて、生々しく、ダイレクトに聞き手の心をヒリヒリさせる。その点、このアルバムは終始安心して聴ける。初めてTori作品に触れる人はこのくらいの刺激が丁度良いと思う。

そして、このアルバムは極端にコンセプチュアルだ。ToriがScarletという女性を通しての感情、アメリカの社会問題をうたう。また、詞もいつもの様に一筋縄ではいかず、聞き手に様々な意味を与えてくれる。こんなことが出来るのはToriだからこそだと思うし、彼女のセルフプロデュース能力の才能を発揮している作品だと思う。

もう一つの理由として、楽曲がどれも素晴らしい事が挙げられる。その中でも、個人的に気に入っているのは、A sorta Fairytale、Taxi Ride、Gold Dustだ。因みに僕は、楽曲、アートワークを総合して、この作品には「風」を連想させられる。そんな曲達がいっぱい詰まっている。

Tori初心者にも薦められ、尚且つ、聴けば聴く程愛着の湧く「Scarlet's Walk」は本当に素晴らしい作品だと想う。

ゆうこげさんのレビュー

トーリとしては出産後初めてのオリジナル作品となる今作。中でも
M2 A Sorta Fairytale
M3 Wednesday
M10 Your Cloud
M12 I Can't See New York
M18 Gold Dust
はとても心に残りました。

特にM10はトーリの母方の祖先であるチェロキーインディアンへの弾圧(後に“涙の旅路”と呼ばれ語り継がれている)について歌われています。ゆったりとしたリズムに乗って気だるく歌うトーリ。しかし、それと反対に悲しみを内包するようなピアノの対比がまた凄いです。

日本でも幕末以降アイヌ民族への弾圧がありましたが、開拓する途上での先住民への虐待・虐殺・略奪はどの国でもあるんですよね。もちろんアメリカでも。しかし、トーリのもう片方にはアイルランド系の血も流れている。長い年月で混血が進んでしまっているからどちらか一方の側には立てないという現実・・・。

そして、このアルバムを語る上で忘れてはならないのが911事件。M12 I Can't See New Yorkはもう、聴いてみてください。そのまんまです。

・・・アメリカは行き着くところまで行ってしまったのでしょうか。M3 Wednesdayで“鷲はいつか着地しなければいけないの”と歌われていますが、鷲とはアメリカの隠喩でしょう。

しかしそうした問題はあるけれども故郷であるアメリカを手放すのではなく、この土地を愛し、旅し続ける、という覚悟がこのアルバムを通して感じられます(現在トーリはアメリカ人ですがイギリス西部のコーンウォールで生活しています)。

社会的・歴史的観点で、ここまで洞察力のある作品を出せる音楽家もあまりいないでしょう。このアルバム発表の2年前、流産を乗り越え母親となったトーリ。その感性はますます冴え渡り、素晴らしい作品に仕上がっています。

M18 Gold Dustで旅が終わり、子孫を残すスカーレット(=トーリ)にウルッと来てしまうのは私も母親だからでしょうか。

ひでおすさんのレビュー

スカーレットという架空の女性の歩いて行く街や出会った不思議で悲しげな人たちを美しく、また詩的に歌にした作品。

ロードムービー的コンセプトを見事にまとめあげていて素晴らしい。秋の季節の暖かい日差しやほんの小さな物事にふと動かされる気持ちなんかにぴったりと合う歌と演奏。アメリカのこういう面を歌うのもとても新鮮であります。少し展開はだれるけど。

聞き込むたびに発見もあるし伸びやかで個性的な声がたまらなく心に響くのです。この人ライブで聞いてみたいです。

中低音辺りの伸びる声質がマドンナに気持ち少しだけ似ていて彼女のバラードや地味な曲が好きな方にもちょっとおすすめ。ちょっとね。笑

ユキエさんのレビュー

年を経ていくごとに、私の中で膨らんでいく世界。奥深い歌詞と曲は、聴くたびにその表情を変えて行く。

ここ数ヶ月自分の心を振り返っていたのだけど、このアルバムとそっくりな道のりを歩んで、自分でもびっくりした。それほどトーリの歌詞は柔軟性に富んでいて、解釈の仕方が自由に出来るのだろう。

初めて聴いたときには、このアルバムについて理解していなかった。好きな曲はあったけど、当時の私には理解できなかった。

今までのトーリのアルバムはどちらかと言えば、心の片面を深く見つめていた傾向が強かったけど、このアルバムは心の両面を深く見つめていったということで、今までのアルバムとは異なる。

般若国務長官さんのレビュー

ちょうどこのアルバム聴いてるときにレビューを発見。TORI AMOSのアルバムのなかで一番通して聴きやすいアルバムではないかとおもいます。

アルバムのそれぞれの曲が一章、一章のお話のように連なってひとつのストーリーを作っているような、ある種コンセプチュアルな感じですが、全体に一般受けしやすいチューンでいい感じです。A Sorta Fairytaleはビデオクリップは少々気持ち悪いけど曲は非常に情感あふれる曲。

この人の声は矢野顕子を連想させるのは俺だけかな。弾き語りといったところも共通点でしょうか?

アメリカ、イギリスでは超メジャーですが、日本では今ひとつ認知されてないのが悔しいっすね~。アラニスとかフィオナアップルとは違いますが、かなり好きな人が聞くとはまる個性的な世界なのは確か。

俺は一番好きなアーティストには必ず彼女を上げてしまいます。