


重厚なピアノの前奏で幕開けし、ゆっくりしたテンポで歌い出す(1)でスタート。Bosendorferのきらきらした高音域と地鳴りのような低音域の音を丁寧に拾って録音しているので、どの曲もピアノの音が素晴らしい。Toriの歌声は絶好調で、複雑な節回しも難無く歌い上げている。
この公演のハイライトは間違いなく、CD1の(4)だろう。曲の前に即興演奏している桃色のドレスについては、Toriらしくウィットな冗談で、サラ・マクラクランについても面白おかしく触れていてなんとも愛らしい。
Yes, Anastasia本編は初めて聴いた時は気絶しそうになったほどすごい演奏で、こうして記録され多くの人の耳に入ることが奇跡だと思う。
(8)では、歌い出す前に交通事故で亡くなったお兄様の思い出触れている。(9)は涙なしでは聴けないジョニ・ミッチェルの名曲。
ハイライトは(3)。アルバムのアレンジよりも断然こちらのライブ演奏のアレンジが良い。ピアノとオルガンの音を統合して、Toriの声でコーティングした美味しいデコレーションケーキのよう。
(4)はY KANT TORI READ時代の名曲。Tori自身のお気に入りのようで、度々コンサートで取り上げている。(9)はコンサートの終曲に相応しくアルバムのアレンジよりもしっとり歌い幕を閉じている。
オーディエンスの反応は全編通して凄まじく、Toriも演奏を心から楽しんでいる様子。


「The Beekeeper」のリリース後、2005年春から夏の終わりまで行われた「Original Sinsuality Tour(春)」と「Summer of Sin Tour(夏)」のライブ音源集。当然、The Beekeeperからの選曲が多めだが、過去のアルバムからもバランス良く選曲され、インターネット上でToriに歌ってほしいカバー曲を募るなど、面白い企画も実現した。
コンサートで取り上げる曲目について、Toriは「完全に一致するセットリストの公演は無い」とコメントしている。
「90%はその日に起こった個人的な出来事で決めて、その次にその日に起こった社会的な出来事で決めるといった具合よ。」(キーボードマガジン2004年3月号より)
このツアーはUS、EU、そしてファンの熱心な署名活動によって決定し、11年ぶりのオーストラリア公演が行われた。ライブ音源CDは春のアメリカ公演から3つのコンサート、イギリス公演から2つのコンサート、夏のアメリカ公演から1つのコンサートが選ばれている。
当初はインターネットのみで販売開始、2005年末にCDショップでも販売され、クリスマスに合わせてBOXセットも発売された。現在、BOXセットの販売はなく、CD単品での販売のみとなっている。BOXセットには特典として、「The Beekeeper」の各庭をテーマにした6枚のシールが入っている。(以下に掲載)
余談:
「The Beekeeper」を許せないという初期作品からのファンの方々に是非聴いてほしいライブ音源。ピアノとオルガンを組み合わせたToriの弾き語りなので、初期作品のようなアレンジになった「The Beekeeper」収録曲で、きっと目から鱗が落ちるだろう。