


ロンドン公演と比べるとこちらのマンチェスター公演は、すごく暗い雰囲気のコンサートでロンドン公演との対比が面白い。ロンドン公演を太陽に例えるなら、マンチェスター公演は月。暗い=盛り上がりに欠けるという意味では決してなく、選曲によるものだと断言する。暗い曲でもToriのファンは大歓声を彼女に向けている。
他のライブ盤とは異なる不思議な魅力がこのCDにはある。
(4)アルバムで歌われているものとは大きく異なり、イタリアホラー映画のような雰囲気で歌っている。
(5)非常にゆっくりしたテンポで歌っている。(4)(5)の流れはBoys For Peleと同じ形になっているが、アルバム作品とは違ったオカルトの雰囲気が加味されていて面白い。
(6)from the choirgirl hotelに収録されているこの曲をピアノ伴奏だけの弾き語りで演奏している。アルバムのバンド演奏版と大きく異なる演奏で興味深い。誤解される表現かもしれないが、この演奏はデジタル要素を全部抜いたPortisheadみたいな音楽だと思う。
(7)こちらもvenus orbitingで聴くことができる演奏と全く違うアレンジで演奏している。オルガン伴奏でゆっくりと歌っている。
(8)Fender Rhodesで演奏。こちらはアルバム演奏よりも曲の美しさが際立っていて良いアレンジだと思う。
(9)このカバー曲を歌う前にToriは毒舌なお喋りを展開し、モリッシーを遠慮会釈なく遣っ付けている。TV出演時に接したモリッシーの無礼な態度に激怒していて、Toriの悪態が聴けるのも貴重。この話に反応して観客の一人がToriと喧嘩を始めるが、彼(観客)が退場し事無きに。こんなハプニングもそのまま収録されているのはライブ盤の醍醐味。肝心のOasisのカバーは大変良い。暗い曲が多いセットリスト中だけあり、異色曲。力強い演奏で初めて聴いた時、とても感動したのを覚えている。
(10)サウンドオブミュージックからの選曲。この曲を映画「ダンサーインザダーク」の劇中、Bjorkが刑務所の中で歌っていた。Toriの演奏を聴いたら、Bjorkの映画を思い出した。
(2)流れるピアノと伸びやかな声で歌っていて、テンポは間を持たせたルバートで演奏している。
(4)この公演のハイライト。ボーカルに凄みがあり、ピアノの打鍵が力強く、曲途中からオルガンとピアノを統合して複雑極まりないフレーズを弾きこなしている。ただ力強いだけでなく、曲の持つせつない雰囲気もきちんと表現している。
(6)重々しい雰囲気の前奏で始まるが、Toriが歌い出すと雰囲気が変わり、聴いていると儚げなでさみしい気持ちになってしまう美しい曲。(7)B面曲でライブでの演奏頻度は低いので珍しい選曲。キーを上げて歌っているので元曲の雰囲気とずいぶん違う。暗い雰囲気のライブ音源を聴きたいという人にこのCDはおすすめ。


「The Beekeeper」のリリース後、2005年春から夏の終わりまで行われた「Original Sinsuality Tour(春)」と「Summer of Sin Tour(夏)」のライブ音源集。当然、The Beekeeperからの選曲が多めだが、過去のアルバムからもバランス良く選曲され、インターネット上でToriに歌ってほしいカバー曲を募るなど、面白い企画も実現した。
コンサートで取り上げる曲目について、Toriは「完全に一致するセットリストの公演は無い」とコメントしている。
「90%はその日に起こった個人的な出来事で決めて、その次にその日に起こった社会的な出来事で決めるといった具合よ。」(キーボードマガジン2004年3月号より)
このツアーはUS、EU、そしてファンの熱心な署名活動によって決定し、11年ぶりのオーストラリア公演が行われた。ライブ音源CDは春のアメリカ公演から3つのコンサート、イギリス公演から2つのコンサート、夏のアメリカ公演から1つのコンサートが選ばれている。
当初はインターネットのみで販売開始、2005年末にCDショップでも販売され、クリスマスに合わせてBOXセットも発売された。現在、BOXセットの販売はなく、CD単品での販売のみとなっている。BOXセットには特典として、「The Beekeeper」の各庭をテーマにした6枚のシールが入っている。(以下に掲載)
余談:
「The Beekeeper」を許せないという初期作品からのファンの方々に是非聴いてほしいライブ音源。ピアノとオルガンを組み合わせたToriの弾き語りなので、初期作品のようなアレンジになった「The Beekeeper」収録曲で、きっと目から鱗が落ちるだろう。