


トーリのPVはきちんと構成されて作られていて、細かく見ていくと展開や小道具にも色々な隠喩がありますので、解読する面白さもあります。 歌詞の内容にぴったり沿ったものというよりは、敢えて違う角度から撮ることによって、多角的な解釈が出来るようになっていると思います。
映像はとてもクオリティーが高く、美しいです。
いくつか感想を・・・。
DISC 1
1.PAST THE MISSION
唯一、女性の前に面と向かった神父に対して、地に体を横たえて道を譲るトーリがなんとも印象的。女性らしい方法で、女性の存在価値を主張したいという彼女の願いが見えます。
3.JACKIE'S STRENGTH
このPVのみならず、From The Choirgirl Hotelのものは流産から得た経験が強く作品に影響していると思う。観衆の面前で夫を暗殺され、そして幾度もの子供の死という耐えきれない苦痛が続いたにも関わらず、生き抜いたジャッキー(ジャクリーン・ケネディ・オナシス)に自分を重ね合わせているかのようです。
4.A SORTA FAIRYTALE
ハッピイ・エンドのように見えるけれど、歌の内容自体はお互いに気に入っていた二人が結局は別れてしまうんですよね。 これは恋愛ストーリーと言うよりは、お互いに欠けた部分を補うことにより、愛によって完全な個人の姿となること、キリスト的な愛の作り出す奇跡について語られていると思います。
6.SPARK
これを見てツインピークスを思い出してしまうのは、私だけでしょうか(笑)?とても綺麗な映像だと思う。 生命力の強いトーリだけど、最後の天使のような美しい二人に見捨てられてしまう。神はなぜ必死に生きようとするのもを見捨てる時があるのか?という当時のトーリの問いかけが感じられます。
DISC 2
1.CAUGHT A LITE SNEEZE
目が回りますが大好きなPVです。夢の景色の裏の裏の裏・・・。嘘と真実、生と死、夢と現実など、相対する二つが浮き出てくる作品。
2.1000 OCEANS
アリス・ウォカーが「わが愛しきものの神殿」で書いていた、ムスクタというアフリカ部族の女性が博物館で展示されていた話を思い出しました。トーリもアリス・ウォカーは読んでいるはずだから、そこからインスピレーションを得たのかも知れない。最後に黒人の親子がトーリを見物するのはとても象徴的です。
6.RASPBERRY SWIRL
トーリの不思議の国のアリス。キリストの絵をぶち破ってダンスフロアーに出現。最後に幕を下げて芝居とすることで、ユーモアを加えて全体の印象を軽くするなんてキュートです。
9.PRETTY GOOD YEAR
1人になってしまった心に少し暖かさが戻るような、そんな時間を感じます。恋が終わってひと段落した頃に、見ると安らぐかも。
「Little Earthquakes」(1992)から 「The Beekeeper」(2005)におけるPVコレクションです。残念ながら全てのPVが収録されているわけではありません。ディスクの都合上なのかもしれませんが、その点が少々残念に思われます。
★:以前発表されたDVDやVHSには収録されていないPV
[]:アルバム名
1.PAST THE MISSION [Under The Pink]
このPVと"GOD"は宗教色の強いPVに仕立てられています。スペインで撮影されたそうで、女性達が静かに群れて街中に向かって歩いていく姿、最後の晴れ晴れした彼女達の表情が印象的。
2.CRUCIFY [Little Earthquakes]
デビューアルバム「Little Earthquakes」のPV。アルバム収録曲のアレンジ版です。このアルバム曲のPV(WINTER,CHINA,SILENT ALL THESE YEARS)は全体的に統一感があって、きっと製作に力が入っていたんでしょうね。ダンスがちょっと中途半端(笑)
3.JACKIE'S STRENGTH [From The Choirgirl Hotel]
結婚式だというのに、何やらあちこちで不穏な空気が。ケネディ暗殺事件とかけているようなのですが、残念ながら私は歌詞からうまく解釈することができません・・最後のシーンは少し救われるかも。
4.A SORTA FAIRYTALE [Scarlet's Walk] ★
2003年に「A Sorta Fairytale (Special Edition EP DVD Single) 」が発売されていて、あの「戦場のピアニスト」の俳優エイドリアンが共演しています。
5.WINTER [Little Earthquakes]
じっくり歌声とピアノを聴くならこの曲。白いグランドピアノでのプレイが印象に残ります。それに、アルバムジャケットとシンクロするようなミニピアノも印象的ですね。
6.SPARK [From The Choirgirl Hotel]
ストーリー仕立てになっていますが、このダークな感じがgood。エンディングのToriの表情も見ものです。
7.SLEEPS WITH BUTTERFLIES [The Beekeeper] ★
最新アルバム「The Beekeeper」のメイン曲のPV。日本人アーティスト、AYA KATOの作品を使用したドリーミーなものになっています。AYA KATOの世界観の中で、"Fairy"らしいと形容されるToriらしさがマッチしていると思います。
8.CORNFLAKE GIRL (US Ver.) [Under The Pink]
UKバージョンもあるので1曲で2度楽しめます。個人的には映像としてこちらの方が好きです。胸をピアノの鍵盤のように弾きまくっている感じもいいし、Toriのファニーな表情(上目づかいとか)など。そしてやっぱり女は強いな~(笑)というシチュエーションが見れます。
9.HEY JUPITER (Dakota Ver.) [Boys For Pele]
この彼女のメイクは彼女と親しかったメイクアップアーティストKevyn Aucoin(故)によるものです。オリジナルのHey Jupiterも好きですが、Dakota Versionは個人的に好きな曲です。どうして火事になったのか、助けにきた女の子は誰なのか…静かに濡れた目を伏せるTori…
10.SILENT ALL THESE YEARS [Little Earthquakes]
「Little Earthquakes」のアルバムジャケットのイメージはこの曲のPVとリンクしています。箱の中で転げて、外へすっくと立ち上がる感じが、このアルバムで己の心情をオープンにしたこととなんとなく重なるように思います。
1.CAUGHT A LITE SNEEZE [Boys For Pele]
全編通してシュール……ダリの絵みたいな展開です。この曲のピアノとハープシコードはいいですね。
2.1000 OCEANS [To Venus And Back] ★
なぜかみんなの見せ物に・・・静かな歌の展開に合わせて時が過ぎてゆきます。どうしてこの曲は入って、「Glory Of The 80's」のPVは入らなかったのかが残念です。
3.GOD [Under The Pink]
こんな儀式ってあり?!こういうエキセントリックさがToriらしさを醸し出しているといえばそうなのですが、でもよくこんなPV撮ったなぁと思います。そう、滑稽な部分があるからToriらしいんですね。
4.BLISS [To Venus And Back] ★
PV中にライブの映像が盛り込まれています。実はライブ映像のPVって他にはないのですね。モノクロとカラーの切り替わりがかっこいい。これを見ているとライブのパワフルさをちょっと味わえる感じです。
5.CHINA [Little Earthquakes]
やはり、VHSでリリースされた映像は画質が低いので見づらい部分もあります。ヘビ女のような衣装と動き、海辺でのピアノプレイはそれはそれで面白いです。
6.RASPBERRY SWIRL [From The Choirgirl Hotel]
ぶっちゃけ、はじけてるのはこのPV。「Boys For Pele」のジャケット写真といい、ダークサイドな部分はここにも活かされてるのかもしれませんね。
7.TALULA (The Tornado Mix) [Boys For Pele]
アルバム収録曲のアレンジバージョン。意味不明なのですが(笑)ハープシコードを弾いているPVはこれだけのようですが、ノリノリに弾いて歌っているのもなんともシュールです。
8.SWEET THE STING [The Beekeeper] ★
最新アルバム「The Beekeeper」からのPV。コーラスメンバーとリラックスした雰囲気で歌ってます。アップでみると、やっぱりTori、年とったなぁ。今回のDVDはデビュー時のと最近のものの順序がないので見比べてみてもいいかも。
9.PRETTY GOOD YEAR [Under The Pink]
Toriの歌う表情って今も変わらないですね。唇の結び方、目線など。
1.PROFESSIONAL WIDOW(Remix) [Boys For Pele]
曲はRemixで当時ランキングもよかったそうです。有名なDJがremixしたということでも。PVもremix状態(笑)。特に新しい映像があるわけではないです。
2.CORNFLAKE GIRL (UK Ver.) [Under The Pink]
宙を泳ぐTori。USバージョンに比べると大人しめの構成です。
<Plus Comprehensive Audio Commentary by Tori>
このモードにすると、全曲についてToriのコメント付きのPVが流れます。
<BEHINED THE SCENES>
A SORTA FAIRYTALE
インタビュー&メイキング映像。どうやってあんな映像(特撮)をとったのかがよーく分かります。
この世の中に音楽が好きという人はとても多い。
「音楽が好き」というこの気持、もしくは思いの度合いが様々なレベルで存在している。音楽をただ軽く聴き流す人、じっくり腰を据えて音楽を聴く人、音楽を聴くだけでは足らずに実際に楽器を手にして演奏する人、自ら歌う人など本当にいろいろいる。
客観的に私自身について考えてみると、自分は異常なほど音楽が好きだと言える部類に入ると思う。上記に挙げた音楽との関わり方で実際にやっていないのは、「自ら歌う」だけでそれ以外は毎日実践している。
異常に好きだという部類には入らない「普通程度に音楽が好き」という人は、きっと耳だけで音楽を楽しむことには限界があると思われる(自分は含まれないので想像してみた)。普通程度に音楽が好きという人々に対して、音楽作家が自分の音楽を的確にわかりやすく伝達する方法として、ミュージック・クリップ(音楽映像)は非常に有効な手段ではないかと私は考える。
個人的に敬愛している現代音楽家はたくさんいるが、あえて言及するまでもなくTori Amosは、私にとって特別思い入れがある熱い存在だ。
最も愛している理由を考えてみたところ、"人間に対する共感"を音楽と彼女自身から強く感じるからだという結論に至った。彼女の音楽は言葉やその他の表現方法では表わしきれない"抽象的な気持ちや感情"を上手く表わしている。きっと私のような根っからの音楽好きで、「人間のメンタリティ」に異常に興味がある人々にとって、Tori Amosの作る音楽は至福を感じる音楽なのではないかと思う。
ただし彼女の音楽は(彼女が好んで選んでいる作曲のエクリチュールがとも言い換えられる)、「普通程度に音楽が好き」という人々には少々難解なのかも知れない。
そこで彼女の音楽を魔法のように一瞬で理解するには、彼女のミュージック・クリップがおおいに役立つのではないだろうか。このビデオ・コレクションDVD収録の全曲について感想を述べたいのだが、特に好きな曲だけいくつか感想を残しておく。
Jackie's Strength (Disc1-3)
ウェディング・ドレス姿のトーリが何とも言えず美しい。彼女自身の結婚時期とも被るからか意味深な映像だが、幸せなフィーリングも感じられなくはない。
A sorta fairytale (Disc1-4)
エイドリアン・ブロディと共演しているが、彼女らしい奇妙で幻想美な映像。 手と足の恋愛譚で最後は結ばれる。
Spark (Disc1-6)
映画のようでドラマチックな展開に息を呑む。最後は残酷な印象だが格好良い。
Sleeps with Butterflies (Disc1-7)
最近(2005年)のトーリの映像で成熟した女性の美しさを感じる。日本人画家の加藤彩が映像制作に関わっており、芸術的印象が特に強い。
Cornflake Girl (US Version) (Disc1-8)
彼女の代表曲のひとつ。女性同士の裏切りを描いていて心に強く訴えられる。"元気が良くかわいい"トーリでしかも若い。
Silent All These Years (Disc1-10)
この映像からは曲のメッセージ性を強く感じられないが、何故か好きである。映像の色合いが美しいからかもしれない。
Caught a Lite Sneeze (Disc2-1)
絵画のような映像で…夢を見ているみたいだ。抽象的な感情をまさに映像と音楽でダイレクトに伝えている好例ではないかと思う。
God (Disc2-3)
宗教についての曲で映像も宗教儀式をパロディ風にしている。見ていて気持ち悪いものもあり面白い。佳作。
Raspberry Swirl (Disc2-6)
エネルギッシュな曲をエネルギッシュな映像で表現していて、相当凝った作品。これも眠っている時に見る夢のようでかなり抽象度が高い。傑作。
他の収録作品も当然大好きなのだが、あまり書くとくどいのでこのあたりで止めておく。
日本のDVDプレイヤーで鑑賞可能なリージョン盤も発売されているので、興味ある方は、是非外資系CDショップで入手して楽しんで鑑賞して欲しい。